후리가나로 읽는 일본 고전
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
永井 荷風의 すみだ川・新橋夜話 他一篇(すみだがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,378자 · 88화면
土手へ上った時には葉桜のかげは早や小暗く水を隔てた人家には灯が見えた。吹きはらう河風に桜の病葉がはらはら散る。蘿月は休まず歩きつづけた暑さにほっと息をつき、ひろげた胸をば扇子であおいだが、まだ店をしまわずにいる休茶屋を見付けて慌忙て立寄り、「おかみさん、冷で一杯。」と腰を下した。正面に待乳山を見渡す隅田川には夕風を孕んだ帆かけ船が頻りに動いて行く。水の面の黄昏れるにつれて鴎の羽の色が際立って白く見える。宗匠はこの景色を見ると時候はちがうけれど酒なくて何の己れが桜かなと急に一杯傾けたくなったのである。
休茶屋の女房が縁の厚い底の上ったコップについで出す冷酒を、蘿月はぐいと飲干してそのまま竹屋の渡船に乗った。丁度河の中ほどへ来た頃から舟のゆれるにつれて冷酒がおいおいにきいて来る。葉桜の上に輝きそめた夕月の光がいかにも涼しい。滑な満潮の水は「お前どこ行く」と流行唄にもあるようにいかにも投遣った風に心持よく流れている。宗匠は目をつぶって独で鼻唄をうたった。
向河岸へつくと急に思出して近所の菓子屋を探して土産を買い今戸橋を渡って真直な道をば自分ばかりは足許のたしかなつもりで、実は大分ふらふらしながら歩いて行った。