후리가나로 읽는 일본 고전
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
永井 荷風의 すみだ川・新橋夜話 他一篇(すみだがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,378자 · 88화면
自分は憤然として昔の深川を思返した。幸い乗換の切符は手の中にある。自分は浅間しいこの都会の中心から一飛びに深川へ行こう――深川へ逃げて行こうという押えられぬ欲望に迫められた。
数年前まで、自分が日本を去るまで、水の深川は久しい間、あらゆる自分の趣味、恍惚、悲しみ、悦びの感激を満足させてくれた処であった。電車はまだ布設されていなかったが既にその頃から、東京市街の美観は散々に破壊されていた中で、河を越した彼の場末の一劃ばかりがわずかに淋しく悲しい裏町の眺望の中に、衰残と零落とのいい尽し得ぬ純粋一致調和の美を味わしてくれたのである。
その頃、繁華な市中からこの深川へ来るには電車の便はなし、人力車は賃銭の高いばかりか何年間とも知れず永代橋の橋普請で、近所の往来は竹矢来で狭められ、小石や砂利で車の通れぬほど荒らされていた処から、誰れも彼れも、皆汐溜から出て三十間堀の堀割を通って来る小さな石油の蒸汽船、もしくは、南八丁堀の河岸縁に、「出ますよ出ますよ」と呼びながら一向出発せずに豆腐屋のような鈴ばかり鳴し立てている櫓舟に乗り、石川島を向うに望んで越前堀に添い、やがて、引汐上汐の波にゆられながら、印度洋でも横断するようにやっとの事で永代橋の河下を横ぎり、越中島から蛤町の堀割に這入るのであった。