후리가나로 읽는 일본 고전
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ほととぎす
ほととぎす
堀 辰雄
堀 辰雄의 ほととぎす을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 30,252자 · 60화면
頭の君は、そういう最後の言葉をもほんの常談として受け取るだけの余裕もないほど、悄げ返って、そのままずうっと縁の方まですさって往かれた。さっきの橘の花の匂はそちらから頭の君が簾の近くまで持ち込んで来たのにちがいなかった。
私はふと、その一瞬前の何んとも云えず好かった花の匂を記憶の中から再びうっとりと蘇らせていた。それがそのまま暫く私を沈黙させていた。
頭の君はそういう私をすっかりもう自分の事を取り合おうとはしないのだと御とりになって、「何だかすっかり御気色をお悪くさせてしまいまして。もう何も仰ゃって下さらなければ、私は帰った方がよろしいのでしょう。――」
そう言って、頭の君は、さも私を怨むように爪はじきなどなさりながら、なおしばらく無言で控えて入らしったが、頭の君がそうお思いになって居られるならそれでもいい、と私が更らに物を言わずにいたものだから、とうとう立ち上って帰って往かれるらしかった。
丁度月のない晩だったから、私は松明などお持たせするように言いつけた。しかしそれさえ受け取ろうとなさらずに、頭の君は何かすねたように、橘の花の匂の立ちこめている戸外へお出になって往かれた。