후리가나로 읽는 일본 고전
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むかでのあしおと
むかでの跫音
大倉 燁子
大倉 燁子의 むかでの跫音(むかでのあしおと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,542자 · 23화면
屏風は取り除かれ、最後の別れをするために皆彼の周囲を取り巻きました。
新生寺さんは眼を閉ったまま、身動きもいたしません。啜泣きの声が、あっちこっちから聞えます。もう息を引き取ったのか知らと思って、苦悶のあとのありありと残っている彼の顔を見詰めていました時、どこから出て来たのか、大きな百足が畳の上をさらさらと音を立てて横ぎり、縁側の方へ逃げました。端近く座っていた一人の女が驚いて飛び上り、
『あら、百足が――』
と金切り声で叫びました。それが彼の耳に届いたのでしょうか、新生寺さんは突然しゃんと体を起し、合掌しながら、それは朗らかな、清く澄んだ美しい声で、御詠歌を唄い出したのです。
いままでは、おやとたのみし、おいづるを、ぬぎておさむるみののたにくみ。
皆はただ呆気に取られていました。が、その奇麗な、銀のような美しい声には思わず聞き惚れてしまいました。しかし、聞き馴れた彼の太い底力のある声とは、全然違うものなのを、不思議に思いました。
唄い終ると新生寺さんは格天井を見詰めながら、疳高い透き通るような声で、さもさも嬉しそうに笑い出しましたが、妙なことにはその様子から声色まで、男ではなく、全く女でした。