후리가나로 읽는 일본 고전
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むかでのあしおと
むかでの跫音
大倉 燁子
大倉 燁子의 むかでの跫音(むかでのあしおと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,542자 · 23화면
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雨が降り出したとみえて、窓硝子がすっかり曇っている。私は指先で曇りを除いて外を見た。汽車はどこを走っているのだろう、ただ暗闇の中を驀地に進んで行くのだ。軌道が不完全なのだろうか、車が悪いのだろうか、がたがたと車体がよく揺れる。揺れる度に先生の肩に垂れた長髪もゆらゆらと波打って、それを凝と見詰めていると、髪の毛の一本一本が、あたかも心あって動いてでもいるように思われる、そして彼の小さい鋭い眼、それがまた相手の心の奥底まで見通しでもするかのように、キラキラと光っている。彼はきっと私の心をも見抜いている事だろう。内心嘲笑しながら話を聞いていたのも、疾くに知っていて故意と素知らぬ振りを装っているのかも知れない、と思うと少々気まりが悪るくもなるのだった。
暫時すると先生は底光りのする眼に微笑をたたえながら、軽い咳を一つして、徐ろに云った。
「あなたは新生寺さんの事については何も御存じないんですね。――表面に現われていること以外は」
「はい、余りよく存じませんが――。ただ伯父が若い頃に株で失敗して、親譲りの財産をすっかり潰ってしまい、その上親類中に大迷惑をかけ、長い間行方を晦ましていましたが、何十年目かで再び皆の前に姿を見せました時は、園部の新生寺住職となっていたという話だけは聞いて居ます。