후리가나로 읽는 일본 고전
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
久生 十蘭의 ノンシャラン道中記(ノンシャランどうちゅうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,137자 · 26화면
「なあに、いざこざはないさ」とつぶやきながら、壁に立て掛けてあった件の細長い袋から、菩提樹の杖に仕込んだ、夜目にもどきどきするような三稜の細身の剣を抜き出して、コン吉の鼻っ先へ突きつけ、さて「這え!」と、もの柔らかに命令した。
コン吉は吃驚敗亡、何の否やもあらばこそ、仰せのごとくに四ん這いになると、引き続いて、
「穴に頭を突っ込め! お尻をもたげて!」という厳命。されば、コン吉はお尻をもたげ、麒麟が池へ水を飲みに来たような姿勢をとると、公爵は、その尻を、
「おう!」という掛け声もろとも、三稜剣で横薙ぎに引っぱたいたから、コン吉はたまらない、
「うわア!」と一声、悲痛な叫びを地上に残して逆落しに石炭孔の闇の中へと消えうせた。
五、二月の空は南方特有の深い紺碧に澄み渡る。ミモザと駝鳥の首のような、とぼけた竜舌蘭の花が、今を盛りと咲き乱れるキャンヌの公園では、はや朝から陽気な軍楽隊、エドゥアール七世の銅像の前を、テニス服を着て足早やに行くのは隣りの別荘の英吉利娘。アルパカのタキシイドを着てひょっこり賭博場から出て来たのは、多分昨夜、コン吉から、三十法ばかり巻きあげたあの憎い玉廻しであろう。