후리가나로 읽는 일본 고전
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パンドラのはこ
パンドラの匣
太宰 治의 パンドラの匣(パンドラのはこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,644자 · 386화면
正義と微笑
わがあしかよわく けわしき山路
のぼりがたくとも ふもとにありて
たのしきしらべに たえずうたわば
ききていさみたつ ひとこそあらめ
さんびか第百五十九
四月十六日。金曜日。
すごい風だ。東京の春は、からっ風が強くて不愉快だ。埃が部屋の中にまで襲来し、机の上はざらざら、頬ぺたも埃だらけ、いやな気持だ。これを書き終えたら、風呂へはいろう。背中にまで埃が忍び込んでいるような気持で、やり切れない。
僕は、きょうから日記をつける。このごろの自分の一日一日が、なんだか、とても重大なもののような気がして来たからである。人間は、十六歳と二十歳までの間にその人格がつくられると、ルソオだか誰だか言っていたそうだが、或いは、そんなものかも知れない。僕も、すでに十六歳である。十六になったら、僕という人間は、カタリという音をたてて変ってしまった。他の人には、気が附くまい。謂わば、形而上の変化なのだから。じっさい、十六になったら、山も、海も、花も、街の人も、青空も、まるっきり違って見えて来たのだ。悪の存在も、ちょっとわかった。この世には、困難な問題が、実に、おびただしく在るのだという事も、ぼんやり予感出来るようになったのだ。