후리가나로 읽는 일본 고전
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パンドラのはこ
パンドラの匣
太宰 治의 パンドラの匣(パンドラのはこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,644자 · 386화면
僕は、このごみっぽい郊外に住んでいる人たちの生活に就いて考えた。ああ、民衆の生活というものは、とても、なつかしくて、そうして悲しいものだ。僕には、まだまだ苦労が足りない、と思った。千葉で十五分待って、それから勝浦行に乗りかえ、夕方、片貝につく。ところが、バスが無い。最終のバスが、三十分前に出てしまったというのだ。二人で、円タクに掛け合ったが、運転手が病気だそうで、話にならない。
「歩こうか。」と兄さんが寒そうに首をちぢめながら言った。
「そうね。荷物は僕が持ちますから。」
「いいよ。」兄さんは笑い出した。
二人で、まず海岸へ出た。磯伝いに行くと割に近いのだ。夕日が照って、砂は黄色く美しかったが、風は強く頬を撃って、寒かった。九十九里の別荘へは、この四、五年、来た事がない。東京から遠すぎるし、場所も淋しいから、夏休みにも、たいてい沼津の母の実家のほうに行ってしまう。でも、久し振りで来てみると、九十九里の海は、昔ながらにひろびろとして青い。大きいうねりが絶えまなく起きては崩れている。子供の頃には、毎年のように来たものだ。別荘は、松風園と呼ばれて、九十九里の名物になっていたものだ。