후리가나로 읽는 일본 고전
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ヴィヨンのつま
ヴィヨンの妻
太宰 治의 ヴィヨンの妻(ヴィヨンのつま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 56,363자 · 112화면
「もう無い」と言った。
「ああ、そう」と私は上品なる社交家の如く、心得顔に気軽そうに立ち、またもや押入れからウイスキイを一本取り出し、栓をあける。
彼は平然と首肯して、また飲む。
さすがに私も、少しいまいましくなって来た。私には幼少の頃から浪費の悪癖があり、ものを惜しむという感覚は、(決して自慢にならぬ事だが)普通の人に較べてやや鈍いように思っている。けれども、そのウイスキイは、謂わば私の秘蔵のものであったのである。昔なら三流品でも、しかし、いまではたしかに一流品に違いなかったのである。値段も大いに高いけれども、しかし、それよりも、之を求める手蔓が、たいへんだったのである。お金さえ出せば買えるというものでは無かったのである。私はこのウイスキイを、かなり前にやっと一ダアスゆずってもらい、そのために破産したけれども後悔はせず、ちびちび嘗めて楽しみ、お酒の好きな作家の井伏さんなんかやって来たら飲んでもらおうとかなり大事にしていたのである。しかし、だんだん無くなって、その時には、押入れに、二本半しか残っていなかったのである。
飲ませろ、と言われた時には、あいにく日本酒も何も無かったので、その残り少なの秘蔵のウイスキイを出したのであるが、しかし、こんなにがぶがぶ鯨飲されるとは思っていなかった。