후리가나로 읽는 일본 고전
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さんじゅうにこく
三十二刻
山本 周五郎
山本 周五郎의 三十二刻(さんじゅうにこく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,273자 · 31화면
「おのおのが図書のために死んでくれようという心は忝ないが、一族の助力を借りたと云われてはわしの面目が立たぬ」
「しかし長門でも一族を集めておりますぞ」
「向うは知らぬ。図書には図書の考えがある。おのおのには察しがつくまいか……この争いが拡がれば、廻座と譜代との全部に波及する。お家が二手に別れて争闘に及んだらどうなるか、この争いはどこまでもわしと長門の間で喰止めなくてはならん。疋田一族でこの理屈の分らぬ者はあるまい」
今度は誰もなにも云わなかった……図書はにっと唇で微笑しながら、
「わしは初めからこの白髪首を賭けている。この首一つで廻座の幾人かを冥途へ掠っていければ安いものじゃ。相手の多いほど首の値打も増す訳じゃでの。そうであろう」
図書の真意は分った。こうなると挺でも動かぬことは知れている。もう引揚げるより他にない。人々はそう悟った……図書はその気配を見て取ったので、すぐ銚子と土器を命じて別盃を交わし、猶予なく人々を退去させた。
「わしの意のあるところを家中へ伝えてくれ、例えどのような仕儀に及ぼうとも、決して手出しをしてはならぬと。よいか、おのおのの力で固く押えてもらわねばならんぞ」