일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ふたつのみち

二つの途

豊島 与志雄

豊島 与志雄의 二つの途(ふたつのみち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 51,102자 · 104화면

아오조라 문고

高子は、渡された淡褐色の注射液を眺めて眉を顰めた。

彼女は本田氏を玄関まで送っていって、一寸躊躇した後に云った。

「神経が大層興奮しているようですが、脳症を起すようなことはありませんでしょうか。」

「そうですね。」と彼は一寸考えた。「……なに起しても大したことはないでしょう。」

そして実際、高子の言も本田の言も、共に的中した。軽微な間歇的なものではあったが、明かに脳症の性質を具えていた。

病室に人が居ないと、啓介はよく上半身を起そうとした。じっと空間に据った眼付に凄い光りを帯びて瞳孔が開いていた。両腕には異常な力がはいっていた。容易に信子や高子の思うままにならなかった。然し木下の言葉には素直に従った。床の上に構わると、顔面の筋肉を硬直さしながら、手指を痙攣的に震わした。彼は木下をすぐ側に呼んで云った。

「僕をこの室に一人置きざりにしてはいけないよ。」

「そんなことをするもんか。」と木下は答えた。

「然し信用出来ないからね。」

その言葉は真実だか皮肉だか分らない調子のものだったが、一種悲痛な力が中に籠っていた。

その頃から彼は、高子に対してひどく無関心な態度を取るようになった。