후리가나로 읽는 일본 고전
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ふたつのみち
二つの途
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 二つの途(ふたつのみち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 51,102자 · 104화면
彼女は出来るだけ、木下と二人きりになるのを避けた、啓介と二人きりになるのを避けた。
一人でじっとしていると、いつのまにか考えは切端つまった所へ落ち込んでいった。真直に眼を挙げるのが恐ろしかった。伏目がちの横目で、じろじろあたりを見廻した。家の内外は、平素と少しも異らなかった。六畳の室には、茶箪笥の上にいつもの通り茶器や菓子盆が並んでいた。画室には見馴れた繪がずらりと懸っていた。裏口には、洗濯盥が転がっていた。啓介の敷布や木下の襯衣などが物干竿にぶら下っていた。日が照ったり陰ったりした。三畳には婆やの所持品や看護婦の荷物が取散されていた。「どうにでもなるがいい、」と彼女は思った。台所に立って行って、取って置いた日本酒を冷たいまま、眼をつぶってコップで飲んだ。頭と手足の先ばかりが熱くなって、背筋がぞくぞく寒くなった。三畳の低い窓縁に腰掛けて外を眺めた。木の芝生もない三尺ばかりの空地を距てて、すぐ眼の前に黒ずんだ板塀があった。牢屋にはいったような気がした。「馬鹿々々。」と自ら嘲る声が何処からともなく聞えた。
彼女は小声で唄を歌い出した。カフェーに居る時覚えた流行唄を初め歌っていたが、いつのまにか、女学校や小学校の頃習った唱歌になってしまった。