후리가나로 읽는 일본 고전
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,094자 · 411화면
「権右衛門、来たか。これへ。」
取次ぎの家来にむかって、師冬は頤で指図した。多血質の養父とは違って、彼は痩形の色の蒼白い眼のするどい、見るからに神経質らしい、何となく尖った感じをあたえるような男であった。武士はなんどきでも鎧を投げかける用意がなければならぬと言って、わが家に打ちくつろいでいる時でも彼はかならず直垂を身につけていた。弓矢も鎧櫃も自分のそばを離さなかった。
「朝夕はいこう冷えまする。若殿の御機嫌はいかがでござりましょうか。」
あたえられた円座を占めて、権右衛門は直垂の袖をかき合わせると、師冬は軽いしわぶきを一つした。
「おお、いかにも朝夕は俄かに冷えて来たようじゃ。都の冬も近づいたわ。その冬空にむかって北国の南朝方が又もや頭をもたげたとかいうので、きのうも今日もその注進で忙がしい。したがってお見舞にも得参らぬが、父上はどうじゃ。」
「は、やはりいつもの通り……。」
「いつもの通り……。では、相も変わらず垂れ籠めておわすのか。」と、師冬は眉をしかめた。「さながら物怪にでも憑かれたような。困ったものじゃのう。」
彼はさすがに養父の秘密を知らないのであった。