후리가나로 읽는 일본 고전
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,094자 · 411화면
ここが何処であるか、どうしてここまで運ばれて来たのか、かれには無論に判らなかった。かれは痛む頭をかたむけて、努めて自分の記憶を喚び起こそうとしたが、采女の死――それから後のことはどう考えても思い出せなかった。自分をここへ連れて来たのは、おそらくかの眇目の男であろうと推量しているものの、その男は自分をここへ置き捨てて何処へ立ち去ってしまったのか。ここは何者の住家であるのか。小坂部にはなんにも想像が付かなかった。からだはいよいよ熱って来て、熬つくように喉が渇くので、かれはよろめく足を踏みしめながら、ふたたび水甕のそばへ歩み寄ろうとする時に、暮れかかる表から一人の男が影のように入って来た。
「おお、醒められたか、お気合いはどうでござります。」
それは眇目の男であった。それに答える前に、小坂部はまず甕の水を幾たびか掬って飲んだ。男は黙ってそれを眺めていたが、やがて土間の隅から枯枝をかかえ出して炉に押し込んだ。
「ここはなんという所でござりまする」と、小坂部は息をつきながら訊いた。
「ここは播磨路……姫山でござります。」
姫山は今日の姫路である。ここが姫路と呼び換えられたのは豊臣時代からのことで、南北朝時代には姫山と呼ばれていた。