일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

佐々木 邦의 凡人伝(ぼんじんでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 98,944자 · 202화면

아오조라 문고

「確かに然うですな」

と私は河原老人が悉皆気に入った。

目と鼻の間に住んでいるから、若河原と老河原は毎日連れ立って登校した。帰りも大抵一緒だった。

「河原さん、あなたは何がお好きですか?」

と或日老人が訊いた。

「何って何ですか?」

と私は無造作に尋ね返した。

「食物です」

「さあこれってものもありません」

「しかし何かおありでしょう? 西洋料理ですか?」

と河原さんはニコ/\しながら追究する。

「天ぷら蕎麦ぐらいのものです」

と私は東京を出て以来、久しく油が切れていた。学園時代は何かというと天ぷら蕎麦だった。貧乏書生だから、それ以上の御馳走は喰べたことがない。

「蕎麦切りですか?」

「いや、天ぷらです」

「天ぷらにしても、蕎麦切りですか?」

「蕎麦に天ぷらを入れたのです」

「矢張り蕎麦切りですよ」

「違いましょう」

「いや、此方では蕎麦切りというんです」

「はゝあ」

「蕎麦切りの天ぷらを御馳走致しましょう」

「いや、結構ですよ」

「御遠慮には及びません。家内に命じて置きますから、今晩いらっしゃい」

と河原さんは招待してくれた。私は心配しながら行ったが、矢張り天ぷら蕎麦だった。お嬢さんがお給仕をしてくれた。