후리가나로 읽는 일본 고전
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ねむのきのかげ
合歓木の蔭
山本 周五郎
山本 周五郎의 合歓木の蔭(ねむのきのかげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,740자 · 27화면
ばあやはこう告げて玄関のほうへゆく、奈尾は片手でそっと手文庫の蓋を押え、五拍子ばかり息をひそめていた。
父は成田将監という碁友達をつれて帰り、客間へ酒のしたくをさせて碁を始めた。兄は賜宴からよそへまわったのだろう、九時になっても戻るようすがない、……奈尾は蒼白い顔をして、居間の小机にもたれたままじっと眼をつむっていた。ばあやは台所で下女や小間使たちを指図しながら、まだ客間の接待をつづけている。酒を入れた碁はいつも長い、しばしば夜半を過ぎることがある、――庭へ出ることは出来ないだろうか、いや奈尾は少しもそんなことを躊躇してはいない、自分を戒しめる声ももう聞こえない、ただ時間のくるのを待っているだけだ、やがて寝間へはいるだろう、それから燈を消し出てゆけばよい、どんな障害も起こらないことを奈尾は知っている、理由を証明することは出来ないが、決して障害の起こらないことが感じられる、……蒼白めいた透きとおるような奈尾の顔に、あるかなきかの微笑がうかんだ。
客間の障子には明るく燈がさしていた、夜空は暗く、一つの星も見えなかった。寝間をぬけ出た奈尾は、庭の片隅にある合歓木のほうへ、静かにすべるように歩いていった。