후리가나로 읽는 일본 고전
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
永井 荷風의 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇(あづまばし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 75,586자 · 159화면
広い道が爪先上りに高くなっている端れに、橋の欄干の柱が見え、晴れた空が遮るものなく遠くまでひろがっていて、今だに吹き荒れる烈風がなおも鋭い音をして、道の上の砂を吹きまくり、堤防の下に立っている焼残りの樹木と、焦げた柱ばかりの小家を吹き倒そうとしている。そこら中夜具箪笥風呂敷包の投出されている間々に、砂ほこりを浴びた男や女や子供が寄りあつまり、中には怪我人の介抱をしたり、または平気で物を食べているものもある。橋の彼方から一ぱい巡査や看護婦の乗っているトラックが二台、今方佐藤の逃げ迷って来た焼跡の方へと走って行くのが見えた。大勢の人の呼んだり叫んだりする声の喧しい中に、子供の泣く声の烈風にかすれて行くのが一層物哀れにきこえた。佐藤は身近くそれ等の声を聞きつけるたびたび、もしや途中ではぐれた女房と赤ン坊の声であってくれたらばと、足元のリクサクもその儘に、声のする方へと歩きかけたのも、一度や二度ではなかった。
避難者の群は朝日の晴れやかにさしてくるに従って、何処からともなく追々に多くなったが、しかし佐藤の見知った顔は一人も見えなかった。咽喉が乾いてたまらないのと、寒風に吹き曝される苦しさとに、佐藤は兎に角荷物を背負い直して、橋の渡り口まで行って見ると、海につづく荒川放水路のひろびろした眺望が横たわっている。