후리가나로 읽는 일본 고전
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なつむしあんどん
夏虫行燈
吉川 英治
吉川 英治의 夏虫行燈(なつむしあんどん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 18,200자 · 37화면
しかもそれは、この甲府城の宝物中でも、代表的なもので、曾つては、将軍の台覧にも供え、元禄年中の城主柳沢吉保も、垂涎措かなかったといわれる――土佐光吉の歌仙図に近衛信尹の讃のある――紙数にすればわずか十二、三枚の薄い帖だった。
(あれが紛失したと!)
居合した者は青くなって、
(一大事だ。何と、幕府へ云い訳を――)と、騒ぎ立った。
奉行の岩瀬志摩は、
(詮議の邪げになる。ここにおる者以外への口外は、一切差し控えられたい。――係り海野甚三郎は、お品の出るまで、退城はならぬ)
と、云い渡した。
で――昨日から、甚三郎は、一室に閉じこめられ、紛失した歌仙本の行方には、密々、厳しい捜査が行われているが、今日に至るも、行方はとんと分らぬらしいというのである。
× ×
× ×
『虫干の御蔵収めは、後四日。――その四日のうちに、紛失物が出なければ、甚三郎は、切腹するしかない。――まあ事情は、こういう理由だが』
と、雑賀丹治は、薄ら笑って、
『そんな破目にある甚三郎を、悪く云うではないが、日頃からいやに君子ぶッて、美い男を鼻にかけ、交際いはしない奴だから、誰も同情する者はない。