후리가나로 읽는 일본 고전
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おおさかのゆううつ
大阪の憂鬱
織田 作之助
織田 作之助의 大阪の憂鬱(おおさかのゆううつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,647자 · 14화면
一
一
またしても大阪の話である。が、大阪の話は書きにくい。大阪の最近のことで書きたいような愉快な話は殆んどない。よしんばあっても、さし障りがあって書けない。
「音に聴く大阪の闇市風景」などという注文に応じてはみたものの、いそいそと筆を取る気になれないのである。
――と、こんな風にまえがきしなければ、近頃は文章が書けなくなってしまった。読者も憂鬱だろうが、私も憂鬱である。書かれる大阪も憂鬱であろう。
私の友人に、寝る前に香り高い珈琲を飲まなければ(飲めばの――誤植ではない)眠れないという厄介な悪癖の持主がいる。飲む方も催眠剤に珈琲を使用するようでは、全く憂鬱だろうが、そんな風に飲まれる珈琲も恐らく憂鬱であろう。
それと同じでんで、大阪を書くということは、例えば永井荷風や久保田万太郎が東京を愛して東京を書いているように、大阪の情緒を香りの高い珈琲を味うごとく味いながら、ありし日の青春を刺戟する点に、たのしみも喜びもあるのだ。かつて私はそうして来たのだ。私はまだ三十代の半ばにも達していないが、それでも大阪を書くということには私なりの青春の回顧があった。しかし、私はいま回顧談をもとめられているわけではない。