후리가나로 읽는 일본 고전
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たじゅうとそのいぬ
太十と其犬
長塚 節
長塚 節의 太十と其犬(たじゅうとそのいぬ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,769자 · 32화면
六
彼は更に次の日の夕方生来嘗てない憤怒と悲痛と悔恨の情を湧かした。それは赤が死んだ日に例の犬殺しが隣の村で赤犬を殺して其飼主と村民の為に夥しくさいなまれて、再び此地に足踏みせぬという誓約のもとに放たれたということを聞いたからである。彼は其夜も眠らなかった。一剋である外に欠点はない彼は正直で勤勉でそうして平穏な生涯を継続して来た。殊に瞽女を知ってからというもの彼は彼の感ずる程度に於て歓楽に酔うて居た。二十年の歓楽から急転し彼は備さに其哀愁を味わねばならなくなった。一大惨劇は相尋いで起った。
六
夜毎に月の出は遅くなった。太十は精神の疲労から其夜うとうととなった。悪戯な村の若い衆が四五人其頃の闇を幸に太十の西瓜を盗もうと謀った。太十の西瓜はこれまで一つも盗まれなかったのである。彼等の手筈はこうであった。二三人は昼間見ておいた西瓜をひっ抱えてすぐ逃げる。他のものは態と太十を起して蚊帳の釣手を切って後から逃げるというのであった。太十は其夜喚んでも容易に返辞がなかった。それ故そういう悪戯さえしなかったならば翌日ただ太十の怒った顔を発見するに過ぎなかったのである。