후리가나로 읽는 일본 고전
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
山本 周五郎의 契りきぬ(ちぎりきぬ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 32,757자 · 66화면
精之助はそのとき二十六であった。生母は体の弱かったひとで、彼を産むとすぐに寝つき、ようやく治って起きたと思うと、すぐにまた病むというぐあいで、彼が七つの年にとうとう亡くなってしまった。父は庄左衛門といって、身分は大寄合、松倉という者と交代で納戸奉行を勤めるのが世襲の役になっていた。――妻をひじょうに愛していて、病中の看護ぶりはひとに真似のできないものであった。ひまさえあれば病間へいって、花を飾り香をき、なにか軽口を云っては妻を笑わせ、またしばしば音曲の巧者を招いて、襖をはらったこちらの座敷で演奏させ、自分は妻の枕許で、さも楽しそうに酒を飲んだ。
妻の死がどんなにこたえたか、はたの者にはわからなかった。庄左衛門は一滴の涙もみせなかったが、しかしそれ以来ずっと独身でとおし、五年まえ、四十七歳で死んだ。――精之助はすぐ家督を継いだが、その年から納戸奉行は松倉に交代したので、現在では無役のまま暢気に暮している。広い屋敷にはいま彼と伊代、父の代からいる時山中弥という老武士、若い下僕二人に仁兵衛夫妻だけしかいなかった。
伊代の眼がいつも自分のようすを見ていることは、おなつはよく知っていた。