후리가나로 읽는 일본 고전
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ふじとざん
富士登山
高浜 虚子
高浜 虚子의 富士登山(ふじとざん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,282자 · 9화면
宿屋の光景などははっきり覚えて居らぬが、其前夜御殿場の町を歩いた時の一種の心持はまだ忘れることが出来ぬ。それは淋しい夜の町というのに過ぎなかったが、爪先上りになっている其町の前方に当って黒い大きな巨人の如きものが峙っている。それが明日登る富士山であるということが何となく心を引きしめた。果して頂上まで登れるのであろうかという疑問は私自身にもあった。そう思って見上げた黒い巨人は私を威圧するように聳えていた。空には月がなくって星ばかりであった。盛夏の候に拘わらず単衣の肌は涼しすぎる位であった。われ等は其夜の町で金剛杖や草鞋などを買って来たように記憶する。
其夜は早く寝て私は熟睡した。それでも二時過に起きるのは苦しかった。仕度を終えて表に出たのは三時頃であった。女馬子に曳かれた一隊の馬が暗い軒下にわれ等を待っていた。手当り次第の馬に跨ると、提灯を持った女馬子は脊の低い、菅笠ばかりが目立って大きく見える後ろ姿を見せながら、馬の口をとって先に立った。馬はおとなしくとぼとぼと歩いた。乗馬の経験のない私は、只謹んで馬の脊に跨っていた。
前夜と変らぬ黒い巨人は矢張り目の前にあった。