후리가나로 읽는 일본 고전
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
中島 敦의 山月記・李陵 他九篇(ぎゅうじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 41,608자 · 84화면
自然は私ほどにロマンティストではないらしい。
夕方、私は独り渚を歩いた。頭上には亭々たる椰子樹が大きく葉扇を動かしながら、太平洋の風に鳴っていた。潮の退いたあとの湿った砂を踏んで行く中に、先刻から私の前後左右を頻りに陽炎のような・あるいは影のようなものがチラチラ走っていることに気が付いた。蟹なのである。灰色とも白とも淡褐色ともつかない・砂とほとんど見分けの付かない・ちょっと蝉の脱け殻のような感じの・小さな蟹が無数に逃げ走るのである。南洋には、マングローブ地帯に多い・赤と青のペンキを塗ったような汐招き蟹なら到る所にいるが、この淡い影のような蟹は珍しい。初めてパラオ本島のガラルド海岸でこれを見た時、一つ一つの蟹の形は見えずに、ただ、自分の周囲の砂がチラチラチラチラと崩れ流れて走るような気がして、幻でも見ているような錯覚に囚えられたものであった。今この島でそれを二度目に見るのである。私が立停ってしばらくじっとしていると、蟹どもの逃走も止む。素速く走る灰色の幻も、フッと消えるのである。この島の人間どもが死絶えた(それはもうほとんど確定的な事実なのだ)後は、この影のような・砂の亡霊のような小蟹どもが、この島を領するのであろうか。