후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
島崎 藤村의 嵐・ある女の生涯(あるおんなのしょうがい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 47,846자 · 96화면
その足袋の紐を結んで、水天宮さまのお参りにでもなんでも出掛けたことを思い出した。そんな旧いことが妙に彼女の胸へ来た。出がけに、彼女は仮の仏壇のところへ行って、
「お母さん、行ってまいります」
と告げて行くことを忘れなかった。
「おばあちゃん、おばあちゃん」
とそこへ来て言って、一緒に東京へ行きたがるのは年上の方の孫だ。お三輪はそれをどうすることも出来なかった。
「坊やも連れて行かれないかねえ」
とお三輪が言うと、新七は首を振って、
「どうして、まだそんな時じゃありませんよ」
と母にもお富にも言って見せた。
間もなくお三輪は新七に連れられて出掛けた。彼女も年をとって、誰か連れなしに独りで汽車にも乗れなかった。震災後は汽車の窓から眼に入る人家も激しく変って来ている頃であった。日に光るトタン葺きの屋根、新たに修繕の加えられた壁、ところどころに傾いた軒なぞのまだそのままに一年前のことを語り顔なのさえあった。
東京まで出て行って見ると、震災の名残はまだ芝の公園あたりにも深かった。そこここの樹蔭には、不幸な避難者の仮小屋も取払われずにある。公園の蓮池を前に、桜やアカシヤが影を落している静かな一隅が、お三輪の目ざして行ったところだ。