후리가나로 읽는 일본 고전
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ききょうき
帰京記
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 帰京記(ききょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,010자 · 4화면
五十年配の肥った物静かな婦人で、すんだ懼えた眼を伏せて黙っていた。
その婦人と私と、他に洋服の男二人と自警団員一人、それだけ自動車にのりこんで、車体の外部にベルギー公使館と大書した紙がはりつけられた。街道は避難者で雑踏を極め、要所要所には兵士や憲兵や自警団員が監視していた。自動車は徐行し、その上時々立停った。私たちはみな黙々としていた。
駕籠町で私たちは降ろされた。市内の様子はここでもはっきりしない。その四辻に、私はベルギー婦人とぼんやり顔を見合せた。私は覚束ないフランス語で尋ねた。「私の家に来ませんか。」彼女は低い声でいった。「なるべく早くベルギー公使館へ行きたい。」それから彼女は尋ねた。「あなたの家は無事ですか。」私はあいまいな返事をした。「無事だとは思うけれど……。」
自動車屋をみつけて、とても駄目だというのを無理に押しつけ、九段あたりまでなら大丈夫らしいので、万一の用心に飯田町暁星中学のフランス人エック先生に紹介の名刺を書き、出来るだけ三年町のベルギー公使館まで突破することを頼んで、十円紙幣二枚と共にベルギー婦人を託した。
戦後の混雑を想像させる街路を、私は弁当や菓子の包みをかかえながら、夢心地で急いだ。