후리가나로 읽는 일본 고전
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
堀 辰雄의 幼年時代・晩夏(ようねんじだい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,965자 · 169화면
それだものだから、そうやって土手下なんぞの小さな借家ずまいをするようになってからも、三つ四つの私は母やおばあさんに手をひかれて漸っとよちよちと歩きながら、そのへんなどに、ちょっと飛石でも打ってあるような、門構えの家でも見かけると、急に「あたいのうち……あたいのうち……」といい出して、その中へちょこちょこと駈けこんでいってしまって、みんなをよく困らせたそうだ。
それからもう一つ。――その頃よく町の辻などに仁丹の大きな看板が出ていて、それには白い羽のふさふさとした大礼帽をかぶって、美しい髭を生やした人の胸像が描かれてあった、――それを見つけると、私はきまってそのほうを指して、「お父うちゃん……」といってきかなかった、漸っとそのお父うちゃんというのが言えるようになったばかりの幼い私は。……それはおそらく自分の父がそういう美しい髭を生やした人であったのをよく覚えていたからでもあったろう。それにひょっとしたら私の父が何かの折にそんな文官の礼装でもしていたところを見たことでもあって、それをまだどこかで覚えていたのかも知れない。……
長いこと脳をわずらっていた、父浜之助が遂に亡くなったときは、私ももう七八つになっていたろう。