후리가나로 읽는 일본 고전
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
堀 辰雄의 幼年時代・晩夏(ようねんじだい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,965자 · 169화면
「構わずに上ってよ。……勉強のお邪魔にはならなくて?」
「うん……」いいんだか、悪いんだか分らないような返事をしたきりである。
そんな従弟の方をお照はとりつくしまがなさそうに見ながら、茶の間へは上ったものの、何処へ坐ったらいいかと躊躇しているようだったが、とうとう三畳の長火鉢の、いつもおばさんの坐っている場所へ、そうっと坐った。弘もまた弘で、自分の背後にそういうお照を意識し出してからは、茶ぶ台には向っていても、もう帳面の上に円や線を描くことは中止して、ぼんやりと頬杖をしているきりである。しかし、お照の方へは目をやろうとも、声をかけようともしない。この頃向島から芸妓に出るようになったお照がまたときどきこのおばさん(――お照にとっても実の叔母なのだが、彼女が両親に死にわかれてから一時この家へ養女になっていたので、そのうちに折合が悪くなってこの家を飛び出してしまっている今でも、彼女はこの叔母のことを「母さん」と呼んでいるのである。)の家へ遊びにくるようになっているのは知ってもいたし、二三度顔を合わせたこともあるが、さて、こんな風に二人きりで差し向いになって見ると、相手がいかにも芸妓らしくなりすましているだけ、昔のように口を利くのが弘には何となく気まりが悪いのである。