후리가나로 읽는 일본 고전
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かげのないはんにん
影のない犯人
坂口 安吾의 影のない犯人(かげのないはんにん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,032자 · 23화면
狂六はこう考えた。云うまでもなく、多くの疑惑は主として並木先生にそそがれていたのである。
「患者がメッキリ減ってからの先生の目ツキは凄味があるよ。気がちがったんじゃないかなア」
というような観察が行われていた。
ところが並木先生は世間の噂にはおかまいなく、さて、犯人は誰であるか、長男の光一が一番怪しいが、玄斎も狂六もタダモノではないから、どういう奇怪な行動をやるにしてもフシギはない。こう考えて先生は万人を疑ったが、しかも奇妙なことに、彼は医者でありながら、何者が「いかなる薬品をいかに用いて殺したか」ということを考えずに、何者が「いかなる心理によってこの犯罪を犯したか」という心理探究の方にもっぱら熱をあげていたのである。
そこで狂六が並木先生に云った。
「おかしいねえ。アナタ、医者だろう。そのくせ、なぜ、誰がいかなる薬品で殺したかということを考えないのかね。アナタ、つまりそれを考えたくないのだなア、そこで心理問題の方へはぐらして、ごまかしてるんだね。つまりさ、アナタが殺したからだろう」
こう云われても、並木先生は、誰か他の人がそう云われた如くに全然平然として、いつも傍観者のような顔をして安らかな笑いをうかべていた。