후리가나로 읽는 일본 고전
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 109,233자 · 223화면
しかし川島は、その実あまり弱ってもいなかった。少々ぐらいの道の迷いやそれについての苦労ならば、却って後までもハッキリした思い出になってくれるものである。バスで素通りしたところよりも、靴の底が口をあけてしまって藁で縛り乍ら引ずって歩いたところの方が、寧ろあとでは愉しい道なのだ。殊に暦の上の秋は来ても、この南国紀伊の徒歩旅行では、たとえ道に迷わなくとも野宿の一晩ぐらいはするつもりでいたのだ。リュックサックにも、その位の用意はしてある。
だから川島は、いくら道に迷っても、自分自身を遭難者だとは思っていなかった。舌打ちしながらも、何処か心の隅では
(到頭迷ってしまったぞ――)
といったような、期待めいた感じすら持っていたのだった。
あたりは、防音室の中にいるように、物静かだった。たまに立止って、どちらへ進もうかと木立の繁みのなかを見廻すのだが、そんな時でも稀に名も知らぬ小鳥が奇妙な喘き声をするのを耳にとらえるくらいのもので、蝉の声すらもまったく聴えなかった。あたりに鬱蒼と立罩める松、杉、櫟、桜、そのほか様々な木々は、それぞれに思いのままに幹を伸ばし、枝を張り、葉をつけて空を覆っていた。