후리가나로 읽는 일본 고전
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かいいくろひめおろし
怪異黒姫おろし
江見 水蔭
江見 水蔭의 怪異黒姫おろし(かいいくろひめおろし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,963자 · 26화면
一
熊! 熊! 荒熊。それが人に化けたような乱髪、髯面、毛むくじゃらの手、扮装は黒紋付の垢染みたのに裁付袴。背中から腋の下へ斜に、渋段々染の風呂敷包を結び負いにして、朱鞘の大小ぶっ込みの他に、鉄扇まで腰に差した。諸国武者修業の豪傑とは誰の眼にも見えるのが、大鼻の頭に汗の珠を浮べながら、力一杯片膝下に捻伏せているのは、娘とも見える色白の、十六七の美少年、前髪既に弾け乱れて、地上の緑草に搦めるのであった。
「御免なされませ。お許し下さりませ」
悲し気にかつは苦し気に、はた唸き気味で詫びるのであった。
「何んで許そうぞ、拙者に捕ったが最期じゃ。観念して云うがままに成りおれぇ」と、武道者の声は太く濁って、皹入りの竹法螺を吹くに似通った。
北国街道から西に入った黒姫山の裾野の中、雑木は時しもの新緑に、午過ぎの強烈な日の光を避けて、四辺は薄暗くなっていた。
山神の石の祠、苔に蒸し、清水の湧出る御手洗池には、去歳の落葉が底に積って、蠑の這うのが手近くも見えた。
萱や、芒や、桔梗や、小萩や、一面にそれは新芽を並べて、緑を競って生え繁っていた。その上で荒熊の如き武道者が、乙女の如き美少年を、無残にも膝下に組敷いているのは、いずれ尋常の出来事と見えなかった。