후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんな
或る女
有島 武郎
有島 武郎의 或る女(あるおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 205,655자 · 406화면
病院に着いた時も葉子は泣き続けていた。そしてその病院のすぐ手前まで来て、そこに入院しようとした事を心から後悔してしまった。こんな落魄したような姿をつやに見せるのが堪えがたい事のように思われ出したのだ。
暗い二階の部屋に案内されて、愛子が準備しておいた床に横になると葉子はだれに挨拶もせずにただ泣き続けた。そこは運河の水のにおいが泥臭く通って来るような所だった。愛子は煤けた障子の陰で手回りの荷物を取り出して案配した。口少なの愛子は姉を慰めるような言葉も出さなかった。外部が騒々しいだけに部屋の中はなおさらひっそりと思われた。
葉子はやがて静かに顔をあげて部屋の中を見た。愛子の顔色が黄色く見えるほどその日の空も部屋の中も寂れていた。少し黴を持ったようにほこりっぽくぶくぶくする畳の上には丸盆の上に大学病院から持って来た薬びんが乗せてあった。障子ぎわには小さな鏡台が、違い棚には手文庫と硯箱が飾られたけれども、床の間には幅物一つ、花活け一つ置いてなかった。その代わりに草色の風呂敷に包み込んだ衣類と黒い柄のパラソルとが置いてあった。薬びんの乗せてある丸盆が、出入りの商人から到来のもので、縁の所に剥げた所ができて、表には赤い短冊のついた矢が的に命中している画が安っぽい金で描いてあった。