일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ほうろうさっかのぼうけん

放浪作家の冒険

西尾 正

西尾 正의 放浪作家の冒険(ほうろうさっかのぼうけん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 16,694자 · 33화면

아오조라 문고

私が或る特殊な縁故を辿りつつ、雑司ヶ谷鬼子母神裏陋屋の放浪詩人樹庵次郎蔵の間借部屋を訪れたのは、恰も秋は酣、鬼子母神の祭礼で、平常は真暗な境内にさまざまの見世物小屋が立ち並び、嵐のような参詣者や信者の群の跫音話声と共に耳を聾するばかりの、どんつくどんどんつくつくと鳴る太鼓の音が空低しとばかりに響き渡る、殷賑を極めた夜であった。

樹庵次郎蔵、――無論仮名ではあるが、現在この名前を覚えている者は尠い。が、“On a toujours le chagrin.”(「人にゃ苦労が絶えやせぬ」)――こう云う人を喰った題名の道化芝居が一九三×年春のセイゾン、フランス一流のヴォドヴィル劇場O座によって上演せられ、偶然それが当って一年間ぶっ通しに打ち続けられたことのあるのを、読者は記憶しておられるかも知れぬ。この作者がわが樹庵次郎蔵であった。

幼少時代から身寄り頼りのない生来の漂泊者樹庵は、その青年時代の大半をフランスで送った。皿洗い、コック、自動車運転の助手、職工、人夫、艶歌師、女衒、などなど、これらの生業と共に社会の裏側に蠢めき続け、その時も尚パリの裏街、――貧しい詩人や絵描きや音楽家や、そしてそれらの中の埋もれたる逸材を発見して喰いものにしようとする飢えたる狼の如き、卑しい利得一点張りの本屋や画商やが朝から晩迄犇めき