일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

ja-reading.com

후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.

だんがいのさっかく

断崖の錯覚

黒木 舜平

黒木 舜平의 断崖の錯覚(だんがいのさっかく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,483자 · 26화면

아오조라 문고

窮すれば通ず、という俗言をさえ、私は苦笑しながら呟いたものであった。もはや、私は新進作家である。誰ひとり疑うひとがなかった。ときどきは、私自身でさえ疑わなかった。

私は部屋の机のうえに原稿用紙をひろげて、「初恋の記」と題目をおおきく書き、それから、或る新進作家の名前を――いまは私の名前を、書き、それから、二三行書いたり消したりして苦心の跡を見せ、それを女中たちに見えるように、わざと机のうえに置きっぱなしにして、顔をしかめながら、そとへ散歩に出るのだった。

そのようなことをして、私はなおも二三日を有頂天になってすごしたのである。夜、寝てから、私はそれでも少し心配になることがあった。若し、ほんものがこの百花楼へひょっくりやって来たら、と思うと、流石にぞっとするのであった。そんなときには、私のほうから、あいつは贋物だと言ってやろうか、とも考えた。少しずつ私は図太くなっていたらしいのである。不安と戦慄のなかのあの刺すようなよろこびに、私はうかされて了ったのであろう。新進作家になってからは、一木一草、私にとって眼あたらしく思えるのだった。海岸をステッキ振り振り散歩すれば、海も、雲も、船も、なんだかひと癖ありげに見えて胸がおどるのだった。