후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 180,256자 · 361화면
肝腎の天蔵の姿は、死骸のなかになかった。彼は逸はやく、手下を捨て、峰づたいに、恵那山脈のふところへ、逃げ去ってしまったらしいのである。
「彼奴! 甲州領へ目ざして行ったな」
歯がみをして、小六が、峰に立っていると、突然、四方の山の谺を呼んで、グワーン! と一発の弾音がした。
鉄砲だ。
彼を嘲笑うごとき鉄砲の音だった。
「…………」
小六の頬に、涙がながれた。無念はいうまでもないことだ。しかし、彼は悪鬼のような甥を、その時になっても、自分の五体以外のものとは思えなかった。自分の不徳に、悔いの涙がわいたのである。
憮然として――
そこの、峰に立って考えてみた時、小六は、まだまだ自分が、いかに野望を抱いても、土豪の位置を脱して、一箇の国持となるには、日の遠いことを知った。その資格がないことを覚った。
(――身内のひとりすら治めることを知らないでは)
(武力ばかりではだめだ。治策がなければ。……また、日頃の庭訓がなければ)
とも、考えた。
翻然と、彼は、涙の目から、苦笑を光らした。
「畜生めが、おれを訓えて行ったわえ!」
小六は、峰から呶鳴った。
「おウいッ。引き揚げろ――」