후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
た。
久慈は真紀子を起さぬように足音を忍ばせて靴を履き、それから服を着てそっと部屋を脱け出した。ホテルの外の通りはもう一人の人影もない、全く深夜だった。狭まった高い建物の彫刻の間で早く雲が動いている。石壁に沿って宿の方へ帰ってゆく靴音も久しぶりに自分の音らしく聞えて来た。
彼は両手を振り振り危くこの自由を無くしてしまうところだったと思うと、真紀子から逃げて来た歩調が充実したものに感じ、石壁に閃めく影も主人の自分に秋波を送っているように見えて、
「よしよし。」とひとり頷いた。
ホテルの前まで来たとき、視界に誰一人もいない美しさに久慈はすぐ中へ這入る気にならず、通りのベンチに腰を降ろして煙草に火を点けた。冷えきった真直ぐな通りの両側に並んだマロニエの幹が、森森とした静けさで一点に集中していくその直線の見事さ、結晶物の光りのような瓦斯灯が夜の放射の鋭さとなって輝くその設計の巧緻さ。未来の夢が眼のあたりにつづいて青青とした呼吸をし、寒冷な人工の極地の一典型を展いて見せているような世界である。久慈はますます眼が冴えわたって来るばかりだった。
「もう俺は恋愛は出来ぬ。