후리가나로 읽는 일본 고전
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
島崎 藤村의 旧主人・芽生(きゅうしゅじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,813자 · 302화면
坂の上り口まで父親に送られて、出ました。
夜はまだ明放れません。鶏の鳴きかわす声が遠近(あちこち)の霧の中に聞える。坂を越して野辺山が原まで出てまいりますと、霧の群は行先(ゆくて)に集って、足元も仄暗(ほのぐら)い。取壊(とりくず)さずにある御仮屋(おかりや)も潜み、厩(うまや)も隠れ、鼻の先の松は遠い影のように沈みました。昨日の今日でしょう、原の上の有様は、よくも目に見えないで、見えるよりかも反って思出の種です。夫婦の進んでまいりましたのは原の中の一筋道――甲州へ通う旧道でした。二人は残夢もまだ覚めきらないという風で、温い霧の中をとぼとぼと辿(たど)りました。
高原の上に寂しい生活を送る小な村落は、旧道に添いまして、一里置位に有るのです。やがて取付(とっつき)の板橋村近く参りますと、道路も明くなって、ところどころ灰紫色(はいむらさき)の空が見えるようになりました。
こうして馬の口を取って、歩いて行くことは、源にとりまして言うに言われぬ苦痛です。源も万更(まんざら)憐(あわれ)みを知らん男でもない。いや、大知りで、随分落魄(おちぶ)れた友人を助けたことも有るし、難渋した旅人に恵んでやった例もある。