후리가나로 읽는 일본 고전
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
山本 周五郎의 春いくたび(はるいくたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,094자 · 142화면
――あれから諸国を修業して、久かたぶりに江戸恋しく道場をたずねてみると、あれほどの大先生が焼死されたという。こいつは臭いとすぐ気がついたので、酔ってくだんのごとき始末さ。はたして、あいつめ、先生がどうしてもお嬢さんを自分にくれそうもないとみて、とうとうあんなことをしでかしてしまったにちがいない。だが悪事は栄えぬものだ、あれだけ深く企んでいながら、日ごろの鍔狂人が祟って、ついあの鍔に目をつけたのが運の尽、もう一歩というところで露顕に及んでしまった。……今度の手柄は、お天気安が掠ったわけさ」
「そういわれちゃあ面目ねえ」
「遠慮するな、てめえの道楽がこんな役に立とうたあ思わなかった、さあ乾せ」
佐兵衛も上機嫌で、
「これで大先生も浮ばれましょう。あっしもなんだか胸の閊が下りたような心持だ、――ねえお嬢さん、大先生の一周忌が過ぎたら、あなたと仁木先生のお仲人は佐兵衛が勤めますぜ」
「まあ、いやな頭」
小浪は体いっぱいに羞いを見せて、ちらと兵馬のほうへをした。――わっとお天気安が奇声をあげるのが合図、一座がどっと歓声にどよむ――その声を縫って、とととんとことことこと、初午の太鼓が、宵寒の風に乗って元気よく響いてきた。