후리가나로 읽는 일본 고전
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とうじょうき
東上記
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 東上記(とうじょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,356자 · 17화면
隣りに言葉訛り奇妙なる二人連れの饒舌もいびきの音に変って、向うのせなあが追分を歌い始むれば甲板に誰れの持て来たものか轡虫の鳴き出したるなど面白し。甲板をあちこちする船員の靴音がコツリ/\と言文一致なれば書く処なり。夢魂いつしか飛んで赴く処は鷹城のほとりなりけん、なつかしき人々の顔まざ/\と見ては驚く舷側の潮の音。ねがえりの耳に革鞄の仮枕いたずらに堅きも悲しく心細くわれながら浅猿しき事なり。残夢再びさむれば、もう神戸が見えますると隣りの女に告ぐるボーイの声。さてこそとにわかに元気つきて窓を覗きたれど月なき空に淡路島も見え分かず。再びとろ/\として覚むれば船は既に港内に入って窓外にきらめく舷燈の赤き青き。汽笛の吼ゆるごとき叫ぶがごとき深夜の寂寞と云う事知らぬ港ながら帆柱にゆらぐ星の光はさすがに静かなり。革鞄と毛布と蝙蝠傘とを両手一ぱいにかかえて狭き梯子を上って甲板に上がれば既に船は桟橋へ着きていたり。苅谷氏に昨夕の礼をのべて船を下り安松へ上がる。岡崎賢七とか云う人と同室へ入れられ、宅へ端書したゝむ。時計を見ればまだ三時なり。しかし六時の急行に乗る積りなれば落付いて眠る間もなかるべしと漱石師などへ用もなき端書したゝむ。