후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
島崎 藤村의 桜の実の熟する時(さくらのみのじゅくするとき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 111,569자 · 222화면
真勢さんは小父さんと交代に帳場に坐って須永さんの役を勤めることもあり、入口の腰掛のところに陣取って周どんの役を勤めることもあったが、この人の来た頃から開業してまだ日の浅い雑貨店も漸く店らしくなって行った。それだけ捨吉は手伝いのしようが無いような気がした。鉄物類の並べてある方へ行って見る。そこには吉どんが巌張っている。唐物類の方へ行って見る。そこには新どんが居る。塗物類の方へ行って見る。そこにはまた寅どんがいる。皆自分々々の縄張内だと言わぬばかりに控えたり、時にはその棚の前を往ったり来たりして、手をつけさせない。捨吉は年少な善どんの居る方へ行って、せめて箸箱の類を売ることを手伝おうとして見た。何処へ行っても、結局手の出しようがないように思った。
やがて蒸々とする恐ろしい夏の熱がやって来た。伊勢崎屋の入口に近い壁を背にして、頭を後方の冷たい壁土に押宛てながら、捨吉は死んだように腰掛けた。しばらくもう東京の方の菅や足立のことを思出す暇さえもなしに暮した。暑い午後の日ざかりで、繁昌する店の内にも客足の絶える時がある。許しが出て、隣家の空いた土蔵の方へ僅かな昼寝の時を貪りに行くものがある。