후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
彼はその時重く静かな亢奮が湧き上って来るのを感じていた。その亢奮が心の底で逃亡という言葉と結びついたのは何時だろう。昨夜はいろいろな事を考え、長いこと眠れなかった。今朝当番兵の佐伯が彼を呼びに来た時すぐ彼は、それは花田の追討の命令であるだろうということを直覚していたのだ。
高城が戻ってしまってから暫く緊張していた心が、今になってくずれ始めて来た。
第一に彼には道が判らなかった。果して此の道をたどればインタアルに着けるものか、それも判らぬまま消えがちの途を無茶苦茶にあるいてここまで来た。そして今此の小屋に居る。このまま途を踏み迷うとすれば、あるいは此処にいる兵隊と同じ運命をたどることになるのかも知れなかった。糧食とても一日分しか持たぬ。歩いているうちに腹が減り、そして食を求めるすべがなければ、やはり力つきて道端に横たわり死を待つ外はないのだ。しかし此の道がインタアルへの道に間違い無ければ、――その時はまもなく追手が宇治に追い付くだろう。
(あの時、高城を射殺すればよかったのだ。おれは何をためらったのだろう?)
宇治は激しく舌打ちして眼を開いた。追手が来るという不安が次第にはっきりした形をとって胸の中に今拡がり始めたのである。