후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
宇治はそんな風に自分を一度は制しながらも、何か濁った亢奮がそれを超えて胸にひろがって行くのをじっと感じ始めていた。自分の顔が酔いを乗せたまま次第に歪んで行くのが判る。
「高城」
高城も赤く頬を染めていた。宇治は掌をひらひらと動かして、今来た方向を指しながら、はき出すように口を開いていた。
「戻って行って、射ち殺して来い」
どうしても許せない気がしたのだ。狂女の肉体を愉しむ為に東海岸に逃げることをせず、無人の部落に踏み止まっている。しかし俺はその醜悪さを、ほんとに心から憎むのか。はっきりとそう言い切れるのか。宇治は惑乱を感じながら、それを立てなおすように高城の顔に瞳を定めた。高城の表情に何か怪訝の色がふと走ったが、そのまま水筒を彼に返してゆるゆる立ち上った。そして、ためらう風に彼を見おろして立った。
「行って来い!」宇治は言葉を重ねて強めた。
意を決したように高城は背をひるがえして歩き出した。
高城が樹々のかげに見えなくなるまで、宇治はそのままの姿勢でじっと見送って居た。それから膝を両手で抱き、頭を伏せた。あと何分か経つとあの男は殺される。あの男はどこで死んでも運命は同じだというようなことを言ったが、それならば彼にとって宇治は運命であった。