후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
「当直の者は当直へ、残りは別れ」
当直の兵隊と一緒に暗号室への道を歩み出した。海の面だけが淡く暮れ残り、群れ立つ樹々の間は暗かった。兵達を立たせ、そして私が一席の訓戒を加えることを、吉良兵曹長は予期したのだろうか。あるいは兵隊に苦痛をあたえたことだけで事足りたであろうか。私には判らなかった。うしろに何か重い物を引き摺ったような歩き方で、居住区の中に消えて行った彼のうしろ姿が、奇妙に私の眼に沁みついて離れなかった。外の下士官がやるように、自分たちが兵隊であった折にやられたから、今兵隊に同じことをやる、といったような単純なものではないであろう。痼疾のように、吉良兵曹長の心に巣くう何物かが、彼をかり立てているようであった。私の理解を絶した、おそらくは彼自身にも理解出来ない鬼のようなものが、彼の胸を荒れ狂っているようであった。
(あの眼が、それだ)
新兵教育を受けた時、私の班長がやはり、性格の上では違っていたけれども、その類の眼を持った下士であった。平常は温和な、そして発作的に残忍なふるまいをする。あとで何か事件を起して軍法会議に廻ったことを聞いた。私は此の男のことをふと思い出していた。