후리가나로 읽는 일본 고전
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
梶井 基次郎의 檸檬・ある心の風景 他二十編(れもん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 127,934자 · 263화면
そうした心の静けさとかすかな秋の先駆は、彼を部屋の中の書物や妄想にひきとめてはおかなかった。草や虫や雲や風景を眼の前へ据えて、ひそかに抑えて来た心を燃えさせる、――ただそのことだけが仕甲斐のあることのように峻には思えた。
「家の近所にお城跡がありまして峻の散歩にはちょうど良いと思います」姉が彼の母のもとへ寄来した手紙にこんなことが書いてあった。着いた翌日の夜。義兄と姉とその娘と四人ではじめてこの城跡へ登った。旱のためうんかがたくさん田に湧いたのを除虫燈で殺している。それがもうあと二三日だからというので、それを見にあがったのだった。平野は見渡す限り除虫燈の海だった。遠くになると星のように瞬いている。山の峡間がぼうと照らされて、そこから大河のように流れ出ている所もあった。彼はその異常な光景に昂奮して涙ぐんだ。風のない夜で涼みかたがた見物に来る町の人びとで城跡は賑わっていた。暗のなかから白粉を厚く塗った町の娘達がはしゃいだ眼を光らせた。
今、空は悲しいまで晴れていた。そしてその下に町は甍を並べていた。
白堊の小学校。土蔵作りの銀行。寺の屋根。そしてそこここ、西洋菓子の間に詰めてあるカンナ屑めいて、緑色の植物が家々の間から萌え出ている。