후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
梶井 基次郎의 檸檬・ある心の風景 他二十編(れもん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 127,934자 · 263화면
歩け。歩け。へたばるまで歩け」
私は残酷な調子で自分を鞭打った。歩け。歩け。歩き殺してしまえ。
その夜晩く私は半島の南端、港の船着場を前にして疲れ切った私の身体を立たせていた。私は酒を飲んでいた。しかし心は沈んだまますこしも酔っていなかった。
強い潮の香に混って、瀝青や油の匂いが濃くそのあたりを立て罩めていた。もやい綱が船の寝息のようにきしり、それを眠りつかせるように、静かな波のぽちゃぽちゃと舷側を叩く音が、暗い水面にきこえていた。
「××さんはいないかよう!」
静かな空気を破って媚めいた女の声が先ほどから岸で呼んでいた。ぼんやりした燈りを睡むそうに提げている百噸あまりの汽船のともの方から、見えない声が不明瞭になにか答えている。それは重々しいバスである。
「いないのかよう。××さんは」
それはこの港に船の男を相手に媚を売っている女らしく思える。私はその返事のバスに人ごとながら聴耳をたてたが、相不変曖昧な言葉が同じように鈍い調子で響くばかりで、やがて女はあきらめたようすでいなくなってしまった。
私は静かな眠った港を前にしながら転変に富んだその夜を回想していた。