후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,724자 · 355화면
伊太利や独逸におこっている新しい国民運動にもまるで理解がなかったし、日本でせっかく芽を出しかけている政治革新運動に対しても、共産主義と紙一重だなんて言って非難していられたんだ。第一、先生には、日本の東亞における使命とか理想とかいうものが、はっきりつかめていなかったようだ。だから、なぜ若い軍人が非常手段にまで訴えて政治革新に乗り出すのかがわからなかったんだと思う。あれだけのりっぱな人格者でありながら惜しいもんだ。あれで思想的な頭のきりかえさえ出来たら、全く得がたい教育者だと思うがね。」
次郎は少佐の言うことにも一理あるような気がしないでもなかった。とりわけ日本の使命とか理想とかいう言葉には、何かしら心がひかれ、その内容について、もっと説明してほしいという気もした。しかし、彼にとって何より大事なのは、人間の誠実だった。誠実な人間の思想だけが信するに足る思想だ。下劣な策略だけに終始している少佐のいうことに、何の権威があろう。そう思って彼は相変らず少佐の顔を見つめたまま、默りこくっていた。
少佐は、次郎がまだ少しも自分に気を許していない様子を見てとると、さすがにむかむかした。