후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,724자 · 355화면
現に彼女は、さっきから、恭一と心の調子をあわせることに一所懸命になっているのではないか。恭一とはふだん遠くはなれていて、ろくに言葉を交わしたこともない彼女が、きょう駅での出来事を恭一にきいたというのが第一おかしい。
そんな考えが混沌とした一種の感情となって彼の心をかきみだした。そして、そのために、彼はいやでも道江に彼の「恋人」を見出し、恭一に彼の恋の競争相手を見出さないでは居れなくなって来たのである。
恋の競争相手が遊蕩児であり悪漢であることは、恋する人にとって決して不幸なことではない。それは、その人が自分の恋をはっきり意識してため息をつく必要もなく、しかも正義の名において、どのようにも勇敢に恋人のために戦うことが出来るからだ。何といっても、最も不幸な恋は、恋の競争相手が自分の敬愛する人であり、しかも恋の勝利者としての諸条件を自分よりもより多くめぐまれた人の場合であろう。そうした場合、恋する人は、否応なしに自分の苦しい恋をはっきりと意識させられるであろうし、同時に、恋人のためにいさぎよく戦いの矛を収めなければならないであろう。しかも、そうすることによって、その恋はいよいよせつないものになって行くのだ。