후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,443자 · 398화면
――といっても、それが原因で、ぼくが道江との婚約を断わったわけでは、むろんない。――なお、これも手紙に関連したことだから、ついでに言っておくが、道江は、君が上京以来一度もたよりをしなかったことを、なぜぼくのほうにうったえて来なかったのか、今になって思うと、それもぼくにはふしぎでならないのだ。ひかえ目な女性というものは、自分が心の中でひそかに愛している人の消息を、他の人にはたずねたがらないものだが、道江もあるいはそうではなかったのか、などとぼくが疑ったとしても、必ずしも無茶ではないと思うが、どうか。――」
次郎は、それが恭一の自分に対する気やすめ以上のものではないと思いながらも、ふしぎに怒りを感じなかった。
「書くことが少し先走りしすぎたが、要するに、道江とぼくとの間柄は、どちらのがわからいっても、親類ないし友だち以上のものではない。少なくとも、ぼく自身に関するかぎり、このことは誓っていえることだし、また道江のがわから言っても、おそらくぼくの判断に誤まりはないだろうと思う。そこでつぎの問題は、何といっても道江の君に対して抱いている気持ちいかんだが、これについては、今言ったようなきわめて薄弱な判断の材料があるだけで、ぼくには決定的なことは何も言えない。