후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 146,773자 · 294화면
彼はすぐ、いかにも解せないといった顔をして、言った。
「そんな女が通ったんですか。」
「とぼけるな!」
と、三つボタンは大喝して拳をふりあげた。もういよいよ我慢がならんといった彼の顔つきだった。
が、その時には、次郎もすでに二三歩うしろに身をひいていた。しかも、彼は、彼の右手に、二寸余の白い刃を見せて、しっかと小刀を握りしめていたのである。
次郎は、その小刀を腰のあたりに構えながら、青ざめた微笑をもらした。そして、唾を一息ぐっとのみこんだあと、吐き出すように言った。
「五年生だと、女が通るのを見ていいんか!」
次郎のあまりにも思い切った態度や言葉づかいは、病的な伝統をそのまま上級生の正義だと心得ている三つボタンにとっては、全く信じられないほどの無礼さだった。彼は、一瞬あっけにとられたような顔をして次郎を見た。
が、次の瞬間には、彼は世にもみじめな存在だった。彼は、次郎をなぶろうとして、あべこべに次郎になぶられていたことに気がついたのである。――何という辛辣な皮肉だ。そして何という上級生としての恥辱だ。こうなった以上、もう言葉だけで何と次郎をおどかそうと、ただ自分をいよいよ滑稽なものにするばかりだ。