후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
話さないさきから厳重に口止めをされて、十吉も変な顔をして黙っていた。
「番町の殿様、飛んでもない道楽者におなりなすったとよ。情けない」
お時はほろりとした。十吉はまた箸をやめて、炉の火にひかる母の眼の白い雫をうっかりと見つめていた。
この母子がお屋敷というのは、麹町番町の藤枝外記の屋敷であった。藤枝の家は五百石の旗本で、先代の外記は御書院の番頭を勤めていた。当代の外記が生まれた時に、縁があってこのお時が乳母に抱えられた。お時はそのときにお光という娘をもっていたが、生まれて一年ばかりで死んでしまったので、彼女は乳の出るのを幸いに藤枝家へ奉公することになった。それはお時が二十二の夏であった。
殿様も奥様も情けぶかい人であった。いい主人を取り当てたお時は奉公大事に勤め通して、若様が五つのお祝いが済んだとき無事にお暇が出た。それから三年目に奥様は更にお縫という嬢様を生んだが、その頃にはお時も丁度かの十吉を腹に宿していたので、乳母はほかの女をえらばれた。しかし御嫡子の若様にお乳をあげたという深い縁故をもっている彼女は、その後も屋敷へお出入りを許されて御主人からは眼をかけられていた。