후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
それがまたお時に取っては此の上もない有難いことのように思われていた。
ことしは外記が二十五の春である。もうそろそろ奥様のお噂でもあることかと、お時はことしの御年始にあがるのを心待ちにしていたが、それでも相手は歴々のお武家であるから、具足びらきの御祝儀の済むまではわざと遠慮して、十二日のきょう急いで山の手へのぼったのである。行って見ると、主人の外記は留守であった。妹のお縫がいつもの通りに愛想よくもてなしてはくれたが、なんとなくその若い美しい顔に暗い影が掩っていた。屋敷のうちも喪にこもったようにひっそりと沈んでいて、どこにも春らしい光りの見えないのがお時の眼についた。
久し振りに訪ねて来たお時に、春早々から悪い耳を聞かせたくないと思ったのであろう、お縫も初めはなんにも言わなかったが、話がだんだん進むにつれて、いくら武家育ちでも女は女の愚痴が出て、お縫の声は陰って来た。
お時もおどろいた。
外記は今まで番士を勤めていたが、去年の暮れに無役の小普請入りを仰せつかったというのであった。尤もお役を勤めていると余計な費用がかかるというので、自分から望んで小普請組にはいる者も無いではないが、無役では出世の見込みはない。